そもそも『鈴与』のはじまりは、大正12年、私共の初代店主 生田與助が、長年勤め上げた日本橋魚河岸の遠海物問屋『伏辰』より独立し、手繰物問屋『鈴與』を開業しようとしたことにさかのぼります。
ところが、まさに開店初日を迎える9月1日、突然地面よりわき起こる恐ろしい激動が、與助の望みをあっけなく打ち砕きました。
一瞬のうちに魚河岸を灰燼に帰したという関東大震災の襲来です。
夢やぶれ、すべてを失った與助は茫然自失し、何も手につかなくなりました。
そのとき芝につくられた臨時市場に毎朝出かけては、夢遊病者のように場内
を歩き回ったといいます。

時代は昭和の御世へと移り、築地に開かれた新市場に與助は再び立ちました。
一念発起して、一から出直しの再出発です。與助はすでに44歳。
小僧の下働きの仕事を、大して苦にもせず、むしろ懐かしいくらいの気持でこなしていきました。河岸にいる喜び。魚をさわるだけで幸せ。その想いがかれをつき動かしていたのです。

でも、魚河岸の神様は與助を見捨てはしませんでした。
この二度目の修行時代を通じて、かれに大きなヒントを与えてくれたのです。
それは、仕事の合間に、店のまかないご飯として出されたマグロの中落ちを食べたときです。あらためて、與助は、その美味しさに目をみはりました。
これまで下魚とされてきたマグロが、ひょっとしたら人気が出るのではないか、大きな商売につながるかもしれない。突然にひらめいた考えは、やがて確信に変っていきます。

昭和5年、築地市場に『鈴与』開店。
当時、それほど多くはなかったマグロ専門の仲卸としてのスタートでした。
「せっかく手繰物師として良い腕を持ってるのに、なぜ大物なんだい?」
「與助さん、マグロもいいけど、どうだい、良い網元を紹介してやろうか?」
昔からの仲間は、親切に言ってくれますが、與助は信じて疑いませんでした。
マグロ屋は絶対に繁昌する、と。

それから70余年。
マグロの店『鈴与』は、時流にさほど流されることもなく、
なんとか商売を続けてくることができました。
 三代目として生まれた私は、
大切な水産資源であるマグロをお届けすることで、
少しでも皆様の心を豊かにする一助になればと考え、
現在、マグロ屋の仕事にたずさわることを何よりも幸せに感じております。

 

店舗紹介
築地市場の店舗をご紹介します。
マグロの履歴書(トレースアビリティ)
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履歴を追うことができます。
催事情報
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マグロのお話
魅力あふれるマグロの、よもやま話。
私の考え